真理子の人生

私は滝川息子達にされたことを母に説明した。

母は急に体をふるわせて泣き出した。

というのは嘘で、いたって冷静であった。

しかし、彼女の目はいつもと違った。

そして、母は

「あんたもか」

と言った。

私は心の中で

( お前も昔やられとんのかい )

と思ったが、絶対に聞きたくなかったのでスルーした。

母は自分の過去を話したそうな顔をしていた。

私の悩みを聞くと言うより不幸話大会になりそうだった。

「滝川息子達をどうしよう?」

と私は話を戻した。

「私がちゃんとしてあげるから、あんたはもう忘れなさい」

と、母はおっしゃった。

その後、母はニヤニヤしながら電卓をはじきだした。

(こいつ金儲けする気やな)

まあ、いい。

私は母に任せて忘れることにした。

肩の荷がおりた。

もう一度、母の目をみた。

やはり今までに見たことのない目だった。

ただ、それは怒りの目でもなければ、悲しみの目でもない。

その目が何を表していたのか、この時はまだわからなかった。

数日後新車のベンツが我が家にきた。