真理子の人生

キャバクラでの仕事は一日で覚えた。

覚えたというよりスナック『ホイホイ』でお水の仕事はマスターできていた。

あの店の厳しさに比べたらキャバクラは楽である。

母のように厳しい人もいない。

その日、店が終わると紗弥加さんが

「やっていけそう?」

と聞いてきた。

私は

「うん」

と明るく答えた。

さて、このキャバクラにボーイは十人ぐらいいるのだが、みんないい感じだ。

というよりも、私は夜の男が好きなのだ。

ボーイはよく見ると、かっこよくはないのだ。

夜の男はオシャレでスーツを着ているから、私にはかっこよく見えてしまうのだ。

馬鹿な女である。

オシャレなヒゲがあるだけで好きになってしまう馬鹿女。

次の日、キャバクラでミーティングがあった。

このミーティングではその月のナンバーワンが表彰されるのである。

紗弥加さんはナンバー2であった。

昼間学生をやりながらのナンバー2なので、なかなかのものである。

ナンバー1は早紀ちゃんという小さな娘だった。

ミーティングが終わった後、私はたまたま更衣室で早紀ちゃんと二人きりになった。

「昨日、入った真理子です。よろしくお願いします。あの、ナンバーワンおめでとうございます」

と私は言ったが、心の中では( かわいい。いい匂い。やりたい。やらせろ )と思っていた。

早紀ちゃんは「よろしく」と笑いながら言ってくれた。

その日は、早紀ちゃんの太客様が来た。

その席に、私も付くことになった。

早紀ちゃんに認めてもらいたくて私は頑張った。

結果、お客様は満足して帰ってくださった。

それが、きっかけで私は早紀ちゃんと仲良くなるのである。