真理子の人生

私は塾に週一回だけ数学を教えてもらいに行っていた。

母には週三回と嘘をつき、夜な夜な紗弥加さんの家に遊びに行っていた。

ある日、紗弥加さんが

「私と同じ店で働かない?」

と誘ってきた。

キャバクラである。
とは言っても私はまだ中三だ。

確かに見た目は二十二三とよく言われるが。

塾の学費も稼がないといけない。

さんざん迷ったあげく私は年をごまかしキャバクラなるとこで働くことになった。

今まで小さなスナックでしか働いたことのない私には楽しみであった。

在籍人数も七十人いる大手系列店だ。

翌日、面接に行き、さっそくその日から働くことになった。

紗弥加さんのドレスを借りて初接客だ。

今でも覚えているが、最初のお客様は、フリーターの方だった。

本当に普通のお客様だった。

二十分が経ち、私は別の席に呼ばれた。

私は「お願い。私を場内指名して」のまなざしでお客様をウルウルみつめた。

彼は

「もうちょっと話したい。おって」

と言ってくれた。

初指名である。

ここから、私のナンバーワン街道が始まるのである。