* * * * * 「……え。」 読んでいた雑誌が足元に落ちる。 完全フリーズしたあたしを見て、優人がもう一度言った。 「だから、来週の県大会にかれんも来てほしいって」 あたしの部屋のドアを閉めながら、優人が笑う。 …笑ってる場合じゃなくて。 「誰が言ってたの?」 「バスケ部みんなが」 「何であたし?」 「勝利の女神 だから?」 …あたしもとんだキャッチネームを付けられたものだ。 優人はあたしの落とした雑誌を拾って、自分の部屋のように部屋の真ん中にしゃがみこんだ。