レモンにはちみつ




キラキラの笑顔でいてほしいから。


「無理して、笑わなくていいんです…」


何故か滲む涙が溢れないように、目を開けて先輩を見つめる。


視線の先で、真面目な顔であたしの話を聞いていた先輩が、



「…ふっ、あはははは!」



…やっぱり、笑った。


でも、キラキラしたいつもの笑顔。

あたしが見たかった、素の笑顔。



「宮田さん、泣きそうじゃん!」

「…だって…、先輩が」


「─ありがとう。俺なんかのために」


ニッコリと柔らかく微笑んだ先輩に、油断したあたしはまぶたをおろしてしまって。



ポロリ、ポロリ、と止まることなく涙が頬を濡らした。