「…そう、ですか……」 先輩は、試合に出たいって言うために職員室へ来たのかな。 あたしに見える背中は、あの階段を降りる時より小さくて。 顔を見なくても、先輩が落胆しているのがわかった。 「次の練習試合から、検討しておくから」 「ありがとうございます」 それでも、しっかりとした声でお辞儀をする先輩の背中が、たくましい。 あの、キラキラの笑顔の中には、色んな想いがうごめいていたんだ。 先輩は、いつもあたしに笑いかけてくれた。 笑顔しか、見たことない。