「─お疲れさん。ほれ、ご褒美」
「ありがとうございます…」
ノートを無事提出すると、ご褒美に飴をひとつもらった。
大変だったけど、よかった。
コロン、とポケットに入れて、出口へ向かった。
その途中、
「─…でもなぁ…」
「…っ、お願いします!」
…なんだろう。
ふと目を向けると、深刻な顔をした瀬戸先輩と顧問の先生。
頭を下げる瀬戸先輩に、先生は困り顔をしていて。
「練習メニューもキツくするし、俺にできる努力はいくらでもします!」
バスケの話、かな。
あたしに背を向けて立つ先輩は、未だに頭を上げない。
思わず立ち止まって見ていると周りの先生に怪訝な目を向けられて。
「す、すみません…」
後ろ髪ひかれる思いで、いそいそとその場を立ち去ろうとした。

