「さ、行こっか」
何事もなかったかのように歩き始めた瀬戸先輩を急いで追いかける。
先輩の手には、ノートの山。
「あたし自分で持ちますっ」
「なーに言ってんの!宮田さんはまた落とすでしょ?」
「お、落としませんよ!先輩に持たせるの申し訳ないです」
優しくしてもらえたとはいえ、持ってもらうのは申し訳ない。
ただでさえ拾ってもらったのに。
歩くたび縦に揺れる先輩の髪を追いかけるように早足でついていくと、職員室のある校舎に入るところで、瀬戸先輩が止まった。
「じゃあ3分の1ね」
「はい」と手渡されたノートを素直に受けとる。
半分じゃなくて、3分の1なところが瀬戸先輩らしいと思った。

