レモンにはちみつ




「職員室遠い…」


いつもより注意深くゆっくりと歩く、三階の渡り廊下。

ここは吹き抜けになってて、柔らかな日差しと風があたしを包む。


…いつもなら、心地いい風なんだけど。


─バサッ

一番上のノートが風で暴れだした。


「ちょっと、やだっ…落とす…!」


─バサバサバサーッ


見事に足下に崩れたノートの山。


…あたし、なんで三階の渡り廊下を通ろうと思ったんだろう。

相次ぐ不運な出来事に、ノートを拾い集める気力さえ奪われて。


ペラペラと捲られていく数冊のノートに、またため息を落とした。