─ビーッ!!
試合開始のブザーが鳴って、コートのまんなかでボールが高く上がる。
背が高い佐藤先輩が余裕の表情で味方にそれを叩いてパスした。
その瞬間から、試合はうちの高校のペース。
あたしは、コートの中で動き回るボールを目で追いながら、時々視界に写り込む瀬戸先輩と実和子さんを気にしていた。
「ナイッシューッ!」
コートに向かって叫ぶ二人は、とても楽しそうで。
ゴールが決まればハイタッチして。
─…なんで、こんなにも胸がざわつくのかな。
実和子さんと瀬戸先輩は、
マネージャーと部員といえども
チームメイト なんだもん。
仲良しなのは当たり前。
当たり前…だもん。
だから、何も気にしなくていいんだ。
瀬戸先輩がいつもより楽しそう、なんて当たり前 だから。