瀬戸先輩が実和子さんを見る瞳は、
他の人を見る瞳とは違う。
一瞬そう思ったけれど、
「あっ、はちみつレモンくれたのも宮田さんなんだよ」
「ねー」と同じような瞳であたしに向かって笑った先輩を見て、あたしの勘違いだと言い聞かせた。
─…まだ、気付きたくなくて。
「…あれ、味大丈夫でした?」
「超おいしかったよ!みんな喜んでた」
「瀬戸が一番喜んでたけどねー」
「だって宮田さんのはちみつレモンうまかったもん!」
“宮田さんの”はちみつレモン。
先輩は意識してないんだろうけど、あたしはその一言に体が熱くなるのを感じた。
心臓が動きすぎて、どうにかなっちゃいそう。

