* * * * *



『─俺、瀬戸だから!校内で会ったら気軽に声かけてね』



そう言うと、少しだけ照れた先輩は短い前髪を触って、あたしを見た。

『なんかチャラく聞こえるけど』って冗談っぽく笑う先輩に、ドキドキして。


胸のドキドキが秋の夜の澄んだ空気に乗って伝わりそうで。



『…そ、そのうちっ!!』



意味がわからない返事をして、顔に集まる熱を振り切るように駅に向かって走った。



─…それはそれは、つい昨日のこと。


時間にして表せば、

ほんの12時間前のお話。