「…おっきいですね」
「それがね、中はそうでもないんだよ」
「俺、部屋が兄貴と一緒だし」と笑う先輩に、あたしは脳内のペンを走らせて。
先輩は、お兄さんがいる
そんな小さな情報を忘れないように。
「なら、松岡たちも!じゃーな!」
「…あっ、お疲れ様でしたー!」
先輩のことなんてすっかり忘れてた様子の優人。
その背中を追いかけようと足を出したとき。
「─俺、瀬戸だから!校内で会ったら気軽に声かけてねっ」
もう。どこまでドキドキさせるの?
夜だというのに眩しい先輩の笑顔に、あたしは倒れてしまいそうだよ。