「そうかな? ならいっか!」 そんなあたしの不安を吹き飛ばしたのは、先輩の明るい一声。 ほっと胸を撫で下ろすと、あたしと瀬戸先輩の間で揺れる紙袋の中から、レモンの香りがして。 「…なんか美味しそうな匂いしない?」 その香りに先輩が反応。 「たぶん、これの匂い、です…」 「ん?」 あたしが持ち上げた紙袋に顔を近付けた先輩。 「……っ…!」 ─…その距離、30センチ。 あたしの目の前でふわふわ揺れる先輩の髪。 …細くて、柔らかそうな。