レモンにはちみつ




「……でさ、…─」

「まじで? でも…」


もうすっかり暗くなった駅までの道。

あたしの前を歩くのは、優人と同学年の人。


二人で話し込んでて、あたしのことなんて頭の隅にもない。…たぶん。



「「……………」」



それに対し、会話に入ることなくあたしの隣を歩く瀬戸先輩。


…落ち着かない、帰り道。


だって、隣で歩けるんだよ?

少し動いたら肩くっついちゃうんだよ?


─ すごく、右肩がくすぐったい。


たまたま先輩が財布を忘れて、
たまたま優人の友達が一緒に帰って、
たまたま優人と話し込んでて、

そんな、“たまたま”の連続が
あたしの心臓を騒がせる。