「じゃあ、帰ろっかな。ちゃんと布団着て寝ろよ?」
あたしの部屋のドアを開けて、振り返りながら言った優人。
「もー、お母さんじゃないんだから。優人こそちゃんと服着て寝なよ?」
照れ隠しというか。
心配性の優人の優しさはくすぐったい。
「かれんは気にしなくていーの。じゃな」
「…ん。あしたね」
パタン…、と静かに閉じたドア。
一階から、優人がお母さんに向かって「おじゃましましたー!」と叫ぶのが聞こえた。
──そういうとこ、優人はしっかりしてる。
礼儀正しくて、周りの人に優しくて。
本人いわく「名前負けしねぇように」らしいけど。
性格がよくてスポーツができる人気者。
─…もちろん、モテる。
たぶん次の試合も女の子が来るんだろうな。
…少しだけ、ユウウツ。

