「そんなかれんが何でレモンケーキは作ったことあるの?」

「─優人の好きなお菓子だから。」


難しいんだけど、ね。

何回かに分けて卵入れたり。
レモンの皮すったり。


道具を洗いながら、当たり前のように答えたあたしに、夏穂は驚いた顔をして。



「…付き合ってないんだよね?」


「…何度も言うけど、違うから。
優人がチョコだめだからバレンタインに毎年あげてるだけだよ」


チョコは無理、と言う優人に、甘すぎないものをと思って作ったのがレモンケーキで。

そしてその難しさで、お菓子作りが面倒だとわかった。


なのにレモンケーキを毎年ねだってくるんだもん。