「礼」


ぺこっと軽く頭を下げると、誰より速く席につく。



「………いない…」



すぐに靴箱に移した視線の先に、瀬戸先輩はいなかった。



でも、すごく嬉しかった。

目が合うだけで、こんなにもドキドキするなんて。

思い出すだけで、こんなにも身体が暑くなるなんて。


─… 恋は、身体に悪い。



「あー… また会いたい…」



明日も、遅刻してくれないかなって。


少しだけ、期待してます。