レモンにはちみつ




ぼーっと外を眺めながら、どうやったらはっきり見えるか、なんて試してみたり。


…あたし、バカ?


自分で自分にツッコミをいれた時。


ゆっくりと校門から歩いてくる人の影が見えた。


─遅刻、かな。


堂々とゆっくり歩いているその人は、余裕ぶってる。

遅刻にはかわりないしもう歩こう、っていう考えなのかも。


ほんとに、ゆっくりゆっくりと近付いてくる人。



ある距離に近付いてから、はっきりと見えた、その人の、顔。



──…瀬戸先輩。



…え? 嘘だ。

自分で思っときながら、瀬戸先輩がこんな時間に来るわけないとも思って。


ゆっくりと縮まる距離に、どきどきする。