レモンにはちみつ




「─宮田!」

「…え? あっ、はい!」


いつのまにか始まっていたSHR。

教壇に立つ担任が、あたしの名前を叫んだ。


「お前なぁ。具合悪いのか?」

「いえ…」

「なら顔を上げとけ。SHRなんて数分なんだから」

「…はぁい…」


クスクス、と教室内に笑いが響く。

恥ずかしくて、窓に目をやった。


「ちゃんと聞いとけよー」と言う担任の声が遠く感じる。



──…あぁ、やっぱりショック。


あの10秒があるかないかで、その日の気分が変わるなんて。


やっぱり、これも恋なのかなぁ…

しゃべったことも、近くで見たことも、一回しかないのに。


あーあ。

教室と靴箱の距離、縮まらないかなぁ…