目の前の夏穂は、いつもの勢いがなくなって体積が半分になったんじゃないかってくらい弱々しい。 「はぁ~… モテる男を好きになったらツラいね」 そう言って物思いにふけるように、窓の外に目を向けた瞬間。 「──佐藤センパイっ!」 さっきの弱さはどこへやら。 目を大きく見開いて窓に貼り付く夏穂は、幸せそのもの。 「かーっこいいー…」 ほわほわと顔を上気させる夏穂は、さっきの落ち込みなんて忘れているようだった。 ─…恋をすると、女は単純になる。 誰かが言ってた言葉を身をもって実感させられる。