レモンにはちみつ




「お似合いだと思うよ?」

「いやいや… もし仮にあたしが優人の彼女だったとしたら、優人のこと好きな女の子たちにいじめられるもん」

「それは僻みでしょ」

「え~、何であんなブスが、っていうパターンだよ。絶対」


「そーかなぁ」なんて言って本気で悩み始めちゃった夏穂。

彼女になる可能性なんてこれっぽっちもないんだから、気にしなくていーのに。


「それこそあたしが大変だよ」

「…え? 何が?」


くるん、と一巻きした毛先をいじる夏穂。


「佐藤センパイ。絶対モテるもんー…」

「あー… 一年でも何人か好きな人いるみたいだもんね」

「でしょ? あたしなんてその中の一人にすぎないんだよね…」



─ほんとに、好きなんだなぁ。


こないだまでは“あこがれ”なんて言ってたけど、メールするうちに“好き”に変わってた、ってことは少し前に聞いてたけど。


好き になると、幸せそうな笑顔だけじゃなくなるんだね。