────────────
──────────────
8時7分までは、まだ余裕のある時間。
何もすることがなくて、早めに席に着いて外を眺めていた。
「─…いる? “瀬戸センパイ”」
「へ? わ、夏穂!」
あたしの後ろから、夏穂が抱きつくようにあたしに近寄る。
こうやって、眺め始めて二週間。
名前を知って、五日。
こんなあたしに夏穂が気付かないわけがなく、夏穂に気付かれてから三日。
「かれんは松岡くんと両思いだとばっかり思ってたのに」
これは、夏穂の口癖となった。
「だからぁ。なんで優人が出てくるの?」
「だって仲良しだもん。自然体だしー」
自然体なのは、幼馴染みだからで。
てかむしろ、好きな人の前では自然体になれないと思うんだけど…

