だから
「─…れん、かれん!」
「……、あ…ごめん」
振り返るとフキゲンそうな優人がいることもしばしば。
「何をそんな一生懸命見てんの?」
「へ!?べっ別に何も…あ、空!空だよ!」
「…………」
あからさまに信じてない様子の優人。
…あたし、嘘とか苦手だ。たぶん。
「─あっ、優人こそ何しにきたの?」
あたしの精一杯のごまかし。
必殺 話を逸らす作戦
あたしが成功したのか、優人が気を遣ったのか。
「あぁ、英語の教科書借りようと思って」
「英語…? あ、持ってきてるよ」
話がうまく変わってホッとした。
なんとなく…優人には、バレたくないから。
先輩とおなじ部活だし。
照れくさいし。

