二階の窓からは、ちょうど下足室が見える。
登校中の生徒の姿がちらほら。
その人の間を縫うように目を回す夏穂に、あたしもなんとなく見渡してみた。
…せんぱい、いるかな。
「──あっ!いる!」
「…えっ!?」
嘘、聞こえてた?
ってか声に出てた?
心配になって夏穂を見ると、何ともないように窓を指差した。
「ほら、あれー!」
「あ、佐藤先輩…?」
…もう。心臓に悪い。
夏穂が見つけたのは佐藤先輩の姿だった。
「あれ!あの背が高くて…」
「あれ?」
「そう!その人!」
こっちへ向かってくる佐藤先輩の姿は、相変わらずイケメンオーラが出てる。
いや、イケメンオーラというより、威圧感?
背が高くて、隣の人より頭ひとつぶんデカイのも、威圧感を強くしてるよなぁ……

