なんでもない



「怖くないから、じっとしてろ。」

また口を開いた日向はなんだか寂しそうな顔をしていた。



そして、怯えた私に手を伸ばしてギュッと抱き締めた。




「え?ちょ、なに?はなして…」



「大丈夫だから。


こないだまで、喧嘩に憧れてたけど、決めた。
俺、喧嘩はしない。



だから、力抜いてみ?

絶対、殴ったりしないから。」




しばらくは力を抜くことなんてできなかったけど、なつきとナオが微笑んでいるのが日向の肩越しに見えて試しに体重をかけてみた。



そしたら力を込められて、日向と私の間に僅かにあった空間がつぶれてなくなった。







初めてくっついた感想は、あったかい。かな。



こんなにも人の温もりというのが暖かいなんて知らなかった。



ゆりかごに入れられたような、ふわふわした感覚は私の眠気を誘った。



耳ももに聞こえる日向の息づかいはこれまた、心地がよかった。