なんでもない

ものの数分で野口は戻って来て、鍵を投げるのかと思いきや階段をのぼりだすから驚いた。

「いいよ。私置いてくるから。
わざわざ来なくて。」

「うーん。そのつもりだったんだけど
何か梅本、寂しそうな顔してるから。」



こんな初対面同様の奴に表情を読み取られるとは思わなかった。


「俺がそばにいなかったから寂しかったんでしょ?」




というか。………はぁ?



なにを真面目な顔で言うのか。

冗談を言うならもっとそれらしい顔をして言って欲しい。

そもそもあんたがいなくて寂しく感じていたわけではない。


あらぬ疑いをかけられて何も言えずにいると野口は何やら自己解決したようだ。