天神学園高等部の奇怪な面々Ⅶ

「何がレーさんだクヌヤラァッ!」

エリザベスが巻き舌で玲菜に食って掛かる。

「てめぇら白組の親分の姦計で、アモルと俺ぁリタイアの憂き目に遭ってんだぞゴラァッ!あの体育祭実行委員長は白組の黒幕だろうがボケェッ!」

「……」

エリザベスの罵声にも表情一つ変えずに。

「ああ…否定はしない。裏で策略を巡らせているのはあの男の仕業だ」

前髪を掻き揚げる玲菜。

左眼の黒い眼帯が覗いた。

「で?何の用なのかしら、レーさんとやら」

冷徹な瞳で、アモルは玲菜を射抜く。

無論信用などしていない。

アモルの正体は影を操る能力を持ち、影を食う、影が在る限り不死の魔物。

本来性別すら関係のない人外だ。

人間のように信頼関係を構築して生きる者ではない。

故に元より他人を信じる習慣など持ち合わせていなかった。