「それにしても遡雫といい小夜といい、ダンマリのちびっ子女子が好きなんだなぁ、スペシャルバカ。てめぇロリコンか?」

エリザベスが毒舌を振るう。

というか、アモルの腹話術かもしれないが。

「別に俺が好んでる訳じゃねぇ。遡雫も小夜も勝手にだな…」

龍太郎が言うそばで。

「聞いた?柿ピー…龍太郎は私の事好きなんだって…嬉しいねぇ…嬉しいねぇ…」

遡雫ははにかみながら、傍らにいる柿ピーにこっそりと耳打ち。

柿ピーも機嫌よさげに尻尾を振る。

「んな事言ってねぇだろっつの」

龍太郎のチョップを頭に受け、遡雫は「あいたっ」と小さく声を上げた。

「ところで丹下」

アモルが龍太郎を見る。

「アンタ、生徒会長が体育祭の不正を黙認してると思ってんでしょ?」

「あん?」

「底が浅いわねぇ…あのどす黒い腹の持ち主が、身内の不正を見逃すと思って?」

エリザベスもなかなかだが、アモルも負けず劣らずの毒舌の模様。

「あの女は待ってるのよ。臥竜(がりゅう)が目を覚ますのをね」

「臥竜?何だそりゃ」

「わからない?目をかけてもらってるのにねぇ…」

訝しげな顔をする龍太郎にも、アモルは薄笑いを浮かべるだけだった。