「けったくそ悪ィッ!」

椅子を引っくり返して教室を出て行く龍太郎。

放課後の学園。

文化祭が終わり、学園内にはどこか気だるいような空気が漂っている。

最初は龍太郎も喜んだものだ。

文化祭の次は体育祭。

退屈で平凡な授業ばかりの毎日よりは、お祭り騒ぎのような学校行事の方がよっぽどマシだと。

なのにこの弛緩した空気はどうだ。

…上級生や昨年の体育祭を知っている生徒達にはわかっているのだ。

天神学園の体育祭は『出来レース』のようなものであるという事が。

昨年になって生徒会長が変わり、もしかしたらと期待した生徒も多かったようだが、結果は同じ。

あの白髪の最恐生徒会長でさえも、天神学園体育祭の悪習を変える事は出来なかったのだ。