そんな女同士の仁義なき戦いとは別の場所で。

「……」

玲菜もまた、龍太郎の姿を見ていた。

どんな不利な状況でも勝ちを諦めず、事実勝利をもぎ取った龍太郎。

彼の姿に、玲菜は次第に心を動かされつつある。

如何に体育祭実行委員長の指示とはいえ、卑怯なやり方に加担している自分に疑問を感じ始めている。

(丹下…私はどうしたらいい…?)

生じたその迷いを胸の奥で燻らせたまま、玲菜は人知れず龍太郎に背を向ける…。