天神学園高等部の奇怪な面々Ⅶ

「ほほぅ…」

鞘から一寸ほど蜘蛛切を抜き、刃を見定める藤原翁。

「よく手入れされておる…いささか血脂の臭いが気になるがの…しかもこの臭いは人間の血脂ではなく…」

ギロリと冬月の方を見る藤原翁。

冬月は怯む事すらなく、狐面の口元で人差し指を立てる。

「まぁええわい。他人の生業にとやかく言うつもりもないしの」

とか何とか言いながら、煙管を懐から取り出して一服。

「何やってんだ爺さんんんんんんんんっ!」

呑気な藤原翁に今にも血管が切れそうな龍太郎。

「落ち着いて龍太郎…キャラメル食べる…?」

遡雫がフォローのつもりなのかキャラメルを差し出し、柿ピーは、ヘッヘッ、と舌を出して龍太郎に擦り寄る。

そんな中。

「ふむ、こんなもんかの」

煙管をポンと膝で叩いて。

「ならば、参るか」

蜘蛛切片手に、藤原翁は一歩踏み出した。