声は、近くの教室から聞こえているようだった。

窓からヒョイと顔を覗かせる快。

…放課後の教室に、二人の人間がいた。

二人ともよく日焼けした、スポーツマンといった雰囲気の男子生徒。

しかし片方は気弱そうに俯き加減、もう一人は少し狡猾そうな笑みを湛えている。

「こんなの絶対まずいって…うちの上層部は不正を絶対許さないんだから」

「なぁに、俺とお前が黙ってれば絶対にわかりっこねぇよ。大体俺は体育祭実行委員長だぜ?体育祭のルールも審判も、自由自在に操れるんだよ」

そう言って。

その体育祭実行委員長とやらは邪な笑みを見せた。

「お前の野球部盗塁王と呼ばれるその俊足、白組で生かせよ。賭けでガッポリ稼いだら、分け前はお前にも回すからよ」