「あー、おはようございます。本日は晴天にも恵まれ…」

ガー、ピー、などと拡声器がハウリングを起こす中、一段高い位置に立って天神学園教頭が開会の挨拶を述べる。

体育祭当日。

校庭に整列する生徒達はゲンナリといった様子だ。

特に2年、3年の、いわゆる『昨年体育祭を経験した生徒』の表情は暗い。

これから始まるのは、体育祭という名の八百長だ。

…全校生徒が集まっているにもかかわらず、校庭にはいささか生徒の数が少ない。

今回の体育祭が八百長である事を知っている者の中には、不参加を決め込んでいる者も多かった。

ロシアのエージェントや某神様とその一味、皇帝兄弟や白兎の君、方向音痴の双子や天才ちびっ子発明家と人造美女など、多くの名だたる生徒達は、学園に登校はしているものの体育祭には参加せずにどこかに隠れている。

曲がった事が許せない筋金入りの不良などは、ふてぶてしく体育館の裏で喫煙中だ。

不正を働く体育祭実行委員長への、いわば抗議であった。