「はぐ…あぐあぐ…もぐ…」

右手にマドレーヌ、左手にドーナッツを。

遡雫は午後の競技が始まってからも、ひたすらに何かを食べている。

思えば昼休みにはお嬢様の準備した…正確には二宮の準備した特製弁当をチャーリーの分まで食べていたし、その前には常にお菓子を摘んでいた記憶がある。

それでもまだ食べる。

クゥン、と。

遡雫の隣で柿ピーが鳴き声を上げる。

「あ…ごめんごめん…柿ピーも食べる…?」

ほにゃっと笑みを浮かべて。

遡雫はマドレーヌを柿ピーの口元に寄せてやった。