昨年まではそれでよかった。

大抵の生徒が金でなびき、人材を容易に確保する事ができたのだ。

だが今年になってイレギュラーな存在が入学してくる。

丹下 龍太郎。

金でも権力でも動かず、納得できなければ、あの『内閣総理大臣より、大統領より、各国の皇族よりも高い地位を持ち、世界中のあらゆる経済、産業、政治、果ては国際紛争に至るまで、様々な分野で影響力を与える世界中から選ばれた僅か十数人の識者』の一人にさえ、躊躇なく拳を振るう。

まさしく後先考えぬスペシャルバカ。

感情のままに動き、本能のままに暴れる。

神にも生徒会長にも制御できない、ある意味この学園で唯一の『中立的存在』。

それはあまりにも魅力的な存在であった。

白組の手の者である玲菜さえもが人間的に魅了されるほどに。