天神学園高等部の奇怪な面々Ⅶ

それは、突然の事だった。

「っ……?」

先頭を走っている陸上部ペア。

彼らの周囲が、いきなり暗闇に包まれる。

声援も、歓声も、生徒達の姿も、追いかけてくる別の選手達も。

全てが視界から消え失せた。

あるのは、震えが来るほどの闇。

何もかも飲み込み、何もかも消し去り、何もかも塗り潰す真の暗闇。

その暗闇の中…背後から。

「ひぃっ!」

陸上部コンビの肩を抱くように現れたのは、ゴスロリドレスを身につけた少女。

パーマのかかった茶髪。

それは紛れもなくアモルファス・シャドウ。

…だが違う。

蒼白い血色の悪い顔、白黒逆転した瞳。

その表情は、とてもいつもの愛らしい少女のものではない。

その三日月にも似た口端が、ニィッ…とつり上がる。