天神学園高等部の奇怪な面々Ⅶ

「くそっ、汚ぇぞ!」

競技を見ていた龍太郎が激昂する。

「見苦しいですわね、ああまでして勝ちを拾いたいのですか。二宮、私は不愉快です!」

お嬢様がまくし立て、二宮が恭しく頭を垂れる。

「アモルとレーさん…大丈夫かな…ずるいよ白組…」

ベソをかきそうな遡雫の横で、柿ピーが、クゥン…と声を上げた。

「駄目ね」

少し冷たく呟いたのはカレンだ。

「すっかりレースは実行委員長の支配下に置かれているわ。文句なしの1着でもとらない限り、どんな反則も妨害も揉み消される筈よ」

「なかなかにエグイ事しはりますなぁ、実行委員長はん…よっぽど白組が優勝すると旨味があるんですやろなぁ」

はんなりと言ってのける冬月だが、その声にはどこか、憎悪めいた色がこもっていた。

「エグイなんてもんじゃないわい!あんな卑怯な真似、真っ向勝負の醍醐味をわかっておらん!粋も風流も解せぬ輩じゃ!」

藤原翁は龍太郎と共に激昂している。

「こりゃーっ!アモルもレーさんも、シャンとせんか!シャンと!」