思えば何故あんな男に従順に従っていたのだろう。

玲菜は考える。

上級生だし、入学した時から色々と世話になっている男だった。

最初は親切で、優等生で、先輩として尊敬していた。

体育祭実行委員長に選ばれた時は、やはり責任ある役職を任されるに相応しい男なのだと感心したものだ。

しかし、玲菜に色々と世話を焼いていたのも、実行委員長になったのも、全ては男の壮大な陰謀だったのだと後に思い知らされる。

天神学園の体育祭を利用した、水面下でのギャンブル。

有能な人材の引き抜き工作。

玲菜をその裏工作の実行犯として仕立て上げる為、実行委員長は恩を売り続けてきたのだ。