「なぁ、お前掃除変われよ」
きつめに発せられた言葉。


「…うん、分かった」

僕はうん、というしか道がなかった。


「雨宮、超助かるよ。俺友達と遊びに行くから無理でさ~」

僕の後ろでソイツは、これから遊ぶだろう友達と帰って行った。


「…いいんだよ、僕暇だし」

誰に言うわけでもなく、自分に言い聞かせるように言った。


ここは教室。

そして僕はいじめられっ子。


それが、クラスメートがする僕に対しての認識。
当たり前のルールで、変わることのない事実。


夏になったのに僕だけカーディガンを着るのは、怪我を隠すため。

長すぎてる前髪もカーディガンと同じ役目をする。


泣くことも怒ることも笑うことさえも忘れた僕は、今日も教室の掃除をする。


「どーせ早く帰っても同じだから…」