閲覧コーナーの窓から見える空はオレンジ系のグラデーションに染まっていた。



後、少しで夜の帳が降りて来る。


俺は目を覚まして…頬杖付いて…窓の外を見つめていた。



「藤ヶ谷先輩…」



ぼ~っと物思いにふける俺に誰かが話しかけて来る。



千紘は俺が借りるはずだった…本をおそるおそる差し出した。



「私の名前で借りましたから…ちゃんと返却期間内に返して下さい…」



「…ありがとう…」


俺は別にこんな本…借りたくてねぇ~
唯、千紘とお近づきになれるきっかけが欲しかっただけ。