俺は慌てて、顔を起こして、薄っすら瞳に潤んだ涙を拭った。



そして平静を装って、



「入れ」と千紘に返す。



千紘は部屋に入って来た。



「・・・藤ヶ谷部長…書類…床に散らばってますけど…」


「!?」


ヤケでデスクから落とした書類のコトをすっかり忘れていた。



「あ、すまん…」



片手に書類を抱えながら、開いた手で千紘がしゃがんで、拾い集める。