「……分かった・・・。もうお前には構わない…」



俺は千紘にハッキリとそう言った。



元カノの幸福を壊すのは…男として情けない・・・



弱みに付け込んで二度も…抱いた俺だけど。
これ以上…情けない男にはなりたくなかった。



「旦那様…お帰りなさいませ」



「ああ~」


俺を迎えてくれたのは父親の長年執事を務めていた田中さん。
もう70歳の爺さん。



俺が生まれる以前からこの屋敷に仕えていた。

俺には全く記憶にはないけど。

赤ちゃんだった俺のオムツも替えてくれていたらしい。