「なんで思い出作りにココ?」
「お兄ちゃんとの思い出の場所」
連れて来たのは、市民公園。
小さい頃、お兄ちゃんとよく来た所なの。
「写真撮ろう」
「思い出作りだろ?ちょっと話そうよ?」
「だめ。写真撮ろう」
渋々横に並んで来る狭山。
「ねぇ狭山?」
「立郁。…だよ?」
「立郁?なんでお兄ちゃんと仲良しだったの?」
「別に、悠一が好きだったから」
好きって…。
「怪しい関係じゃねーよ。大丈夫。お前には何もしない」
立郁がニコリと首を傾げて微笑む。
その瞬間、立郁の顔が近づく。
こいつ、キスしようとしてる?
「なんもしないって言ったぁ」
立郁の口を強く押さえる。
嘘つくなんて最低。
「帰る」
「怒ってんの?」
無視して家路へと足を運ぶ。
「なぁっ!」
「なに?変態!」
ショックだったんだから。
ちゃんと話しがしたかったのに。
「まてよ。俺の言うこと聞け?」
「は?悪いのあんたでしょ!?」
「だからって無視すんな。俺が許さねぇ」
俺様発言しだす立郁と、キョトンとする私。
かなり不思議な光景。
「話し聞くか?りぃゆちゃん」
「帰るっ」
「じゃ、誘拐っ」
お姫様抱っこで私を連れ去る立郁。
こんな恥ずかしいとこ、誰にも見せらんないから立郁の胸に顔を埋める。


「李由?目、開けて」
「誘拐犯。次は何?」
立郁が連れて来たのは…。
「学校?」
結局戻って来ちゃった私達。
一体何が目的なんだか。
「俺達さ気持ちわりぃ位仲良くて、ずっと学校で語りあってた。俺と悠一が最後にぶつかりあった場所」
お兄ちゃんは、成績優秀で優等生。
目の前のコイツは、ご立派なヤンキー様々。
何で二人はぶつかったりしたんだ?
「授業戻りたい?俺といたい?」
上から目線で私に問い掛ける立郁。
切れ長な目してるけど、瞳は身震いするくらい優しい。
このままココにいてもいいかも?なんて思わせる目。
「教室まで案内して」
「語尾にハートつけんな。恐ろしいっつの」


教室に戻った私達。
そう、なんと私達、同じクラスらしい。
お兄ちゃんの幼なじみと仲良くお喋りするなんて、夢にも思わなかった。
しかもこんなヤンキー。
その上、先生からは厳しいお説教。
悪夢。
悪夢だ………。
ヤンキーのレッテルを貼られて過ごすなんて悪夢以外の何物でもない。