【短編】優しい、嘘つき





何を言えばいいの?


何をしたらいいの?


私を見つめる真っすぐな瞳を前に、私は戸惑っていた。




『あ、あの、ゆーくん…』


『ん?』


『わ、私…』




ああどうしよう。


何も言葉が出てこない。



じっと私の言葉を待つゆーくんに心が急く。


早く、早く…




『…っげ、元気でね』




勢いで飛び出した言葉に、私自身が驚いた。


えっ…?


何で…?




『向こうに着いたら連絡してね。あ、あとゆーくん好き嫌いしちゃダメだよ?それからちゃんと部屋を掃除して、寝坊しないようにね』




ぽんぽんと出てくる言葉。


違う……違うの。


私、こんなことを言いたいんじゃない。


なのに、私の口は止まってくれない。