言われたままに、
バスドラの片方を持ち、
もう片方を先生が持って2人でトラックまで運んだ。

特に何も会話はなかった。

だけど、先生の顔を見るたびに、
私は顔が熱くなった。

目が合うたびに笑顔を向けてくれる先生。

本当に、美しかった。

こんな先生の姿に、1年も気付かなかったんだ。
私はなにか勿体ないような気持ちになった。


「ありがとう」

先生はニコッと微笑みながらそう言って、
みんなに他の学校の演奏を
鑑賞しにいくようにと言った。

私は友達のミキと2人で客席へと向かった。


私の初のステージは、
正直先生のことしか記憶に残っていないかった。

曲がどうだったとか、
緊張したとか、そういうのは忘れていた。


とくにこれと言って
すごいと思う演奏もなく・・・

あっという間に結果発表の時間になった。


私たちは先輩に集合するように言われ、
同じ中学校の子たちで近くに座った。



私たちのプログラムは遅い方だったので、
ドキドキする時間も長かった。

昨年は、自分はコンクールに出場していなかったから、
正直なにも感じなかった。
結果発表の時間が、
こんなにも緊張するものだったなんて知らなかった。