「えぇぇええ?!先生って、藤崎先生?」

中川先輩はとても驚いて、
大きな声でそう言った。

「はい…」



なんだろう、この気持ち。
今までに1度も感じたことのない感覚だった。

小学生の頃、好きだとか言っていた
男子がいたけど、そんなもの好きでもなんでもなかったんだと気付いた。



好きって、こういうことなんだ…



中1のとき、なぜか無性に彼氏がほしくなって
1人の男子に告白した。
だけど、やっぱりお互い心から好きになれず、ちょうど1年記念日に別れを告げられた。


やっぱり、あんなの恋でもなんでもなかった。

ただ、私がバカだっただけ。

好きでもない男子に
ただ彼氏がほしいという理由で
告白した私…


いや、違う。

確かに、最初はときめいていた。


だけど、いつからだろう…?


会えただけで、声聞くだけで嬉しくて
他の女子にいっぱい嫉妬したのに。

そんな自分は1ヶ月もしないうちに
薄れてしまっていたんだ。



だけど、今回は違う気がする。

本当に心から先生を好きになっちゃった。


「田代!」


先生の声。


私はニヤニヤする表情を押さえられないまま、先生の方に振り向いた。


「は、はいっ!」