自由曲を吹き終わり、
先生が指揮台からおり、会場に頭を下げた。


こんなにも
先生の生徒だということに
誇らしく思えたのは初めてで
すごく新鮮な気持ちだった。


「音外しちゃった」

ホルンの中川先輩がそう言いながら
私の隣にきてくれた。

「カッコよかった…」

なにも考えず、
ふと出た言葉がそれだった。


先生…

とてもカッコよかった。

まわりを見渡して先生を探している自分に気付かなかった。


先生は、ステージから楽器をはけるのを手伝っていた。



「私…先生に惚れちゃいました」


先生を見つめながら、
トランペットと譜面をぎゅっと抱きしめた。