「んじゃ、私はお先に失礼します」
「おぉ、お疲れ」
「んじゃな、千歳飴」

同期の森沢秦吾(モリザワ シンゴ)が天をからかった。

「その名で呼ぶなっ!」
「仲がいいなー」

先輩の飯井島友奇(イイジマ トモキ)に肩を叩かれた。

「「全然!」」

秦吾と天の言葉がダブる。
顔を見合わせて強くため息をついた。

「それじゃ失礼します!」

鞄をを掴んでその場を去った。

「どっちも素直じゃないなー」

友奇がボソっと呟いた。


「やっぱり外は寒いな~」

マフラーを急いで首に巻いた。
真冬の冷たい風が全体を取り巻いた。

「さっさと帰ろう・・・」

少し小走りで家に向かった。
すると、天の住んでいるマンションの入り口でしゃがんでる人の姿が見えた。

「大丈夫ですか?」

駆け寄るとしゃがんでる人は顔をあげた。

「大丈夫?」

顔を見ると高校生くらいの青年だった。

「さ・・・寒い」