「元気してたか?」

「…そこそこね」


そっか、と少しだけ頬を緩めて恭介がアイスコーヒーをすする。


「………準が……

心配してたからさ」


「もう忘れちゃったわ」

冷たく、嘲笑うように

言うつもりだった。


なのに………

蘇る。

声、笑った時に細く流れる目、あなたの全てが。



目頭が久しぶりに


熱くなった。

シンとした喫茶店で
静かに音を立てる携帯--

「―はい」

「久しぶりの任務だ」

それだけ言って電話は切れた。


「ごめん、行かなきゃ」

「…学校…ちゃんと行けよ」

あんたもね、目だけでそう伝え、喫茶店を出た。


雨はさっきよりも強まっていた。